2009年 10月 30日
広隆寺「弥勒菩薩」
視覚的な「美しさ」に憧れていました。
幼稚園の頃、その感覚は最高潮に達していたように思い出します。
一つは、マリア像への憧れ。
もう一つは、弥勒像への憧れ。
”マリア像への憧れ”は、西洋美術への関心を育ててくれたのと同時に
シスター(尼僧)への憧れに発展して・・・東京の有名カトリック一環校への”お受験”を
させていただきました。
不合格のお陰で、その後は”普通の暮らし”を続けています。
「孟母三遷」の両親の親心のお陰で、本当に三つ目に通った幼稚園は
お寺さんの幼稚園「忍ヶ丘幼稚園」でした。
穏やかで教育熱心な園長・副園長ご夫妻、若く美しい先生、沢山のお友達、
いまでも思い出せる様々な行事や幼稚園生活は、今も私の資源です。
そして、何よりも・・・
毎日、講堂の舞台の上に掛けられた「優しい眼差し」に出会えることが
とても嬉しかったことを思い出します。
幼稚園の一日が終わって帰宅した後も、(とても近かったので)
こっそり講堂に入っては、グランド・ピアノの下に隠れて
その「優しい眼差し」を見ていたことが何度もありました。
私の幼い当時は、幼稚園も小学校も
みなおおらかに子供達の出入りをゆるしてくれていたのでしょうね。
その”優しい眼差し”のお顔が、国宝第一号「広隆寺・弥勒菩薩像」だと知ったのは
小学校のころだったと思いますし、実際にそのお姿と出会えたのは
50にもなってからでしたが、”弥勒像への憧れ”はなんともますます膨らんでいるようです。
明日、ブラジルからこられている恩師をお連れして
広隆寺の弥勒様にお目にかかってこようと思っています。
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カール・ヤスパース(ドイツ・実存哲学者)~抜粋
然るに、この広隆寺の弥勒像には、真に完成されきった人間実存の最高の理念が、
あますところなく表現され尽くしています。
それは地上に於ける全ての時間的なるもの、束縛を超えて達し得た人間の存在の
最も円満な、最も永遠な、姿のシンボルであると思います。
・・・・・・・・・・・・・・・・・(略)
この仏像は我々人間の持つ心の永遠の平和の理想を真にあますことなく
最高度に表徴しているものです。