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無過失保証制度 ~出産に関わる問題~

2004年BoulderのUNIT2に参加していた頃、Brazilから来ていらしたLael先生が
日本の「助産師制度」を高く評価してされていました。

Brazilでは、出産が病院体制化のルーティーン・ワークとして扱われ、
”産み出す”という事自体に丁寧に関われる体制がないことや、
妊婦自身にも”産む””母になる”という事への正しい教育がなされていないことを
指摘されていました。

帰国後に書籍「パワー・オブ・タッチ」(三砂ちづる 訳)をとおして、
1996年~2000年に「光のプロジェクト」(国際協力事業団ブラジル
家族計画母子保健プロジェクト)が行われ、三砂ちづるさんご自身が
助産師のいない国Brazilで”助産師の育成”と”命の喜びに満ちた出産の場”への復帰を
目指して活動されていたことを知りました。

日本の開業、病院助産師を中心とする、よきお産の場にかかわる方々に支えられた、
心のこもったプロジェクトになりました。(訳者・あとがき より)


Lael先生はそのことをとおして日本の助産師の存在と、日本の出産の環境への
憧憬を語ってくださったのでしょう。

ところが2008年の現在、日本では産科病院が10年前(1998年)の30%も
減少し、圧倒的な「産科医不足」の状態を引き起こしているというのです。

●日本の病院関係の訴訟の中で、出産に関わる問題による訴訟が最も多いことが、産科医及び産科病院減少の最大の原因に成っているということなのです。
現在の訴訟問題に対する補償額は、1件5,000万円~1億円だそうです。
たしかに、誕生を期待されていた新生児や母親の命に関わる問題ですから
金額で評価するようなことではないことは、私も分かります。

ところが、その「普通の出産・誕生への期待感」を裏付けているのが、
日本の産科医・助産師の高い水準による「世界一低い、新生児死亡率」だというのです。

どんな先進国も日本の低い死亡率にはおよびません。
ですから、死亡率の高い諸外国の認識では
「出産」とは、なにがしかの”命の代償”をともなう「重大事」なのです。

ところが、日本はこの水準が「あたりまえ」になるほどの体制を完備したがゆえに、
かえって補償問題として扱われる事になったのだというのです。

そしてその結果に、高い水準を提供してきた産科病院や産科医が
たった10年ほどで激減した・・・・というのです。

私も「ポストパータム(出産後)Rolfing」をさせていただいた実感から、
出産後の女性の身体の内的情景は、まるで”阪神大震災”の被災地にみえていた
断層のような情景だったことを、今もハッキリと思い出します。
母も子も、「生まれる」ということは、本当に”命がけ”なのです。

そういえば、わたしたちの身体が備えている生理学的ホメオスタシスという
生命活動システムに備わっている「フィードバック・システム」が、
出産時には働かない!
つまり・・・・身体の生命反応で見る限り・・・・
「出産」は「死にむかうこと」であるという事実を思わずにはいられません。

新たな「命」のために、自分の「命」を差し出すことが「出産」であり、
胎児はその「命」を全て「委ねることしかできない」状態を覚悟して生まれる・・のですね。

ゴーダマ・シッタルーダ(釈尊)も、その母・摩椰夫人(マヤブニン)も。
イエスも、その母・マリアも。

だからこそ”出産”は神聖な行為なのだと、人々は昔から知っていたのでしょうね。

こうした認識をもう一度取り戻した上で、「無過失保証制度」(新生児保証のみ)の
実施を受け入れていけますように。

**追記**
   Hiromiさんがコメントでお知らせくださった「お産の家」(吉村医院)です。
by rolferK | 2008-08-14 01:56 | マタニティー&キッズ Rolfing

主婦からRolferとして人生再建して18年経過。からだのこと・・そして、マイペースに思いつくまま・・。


by rolferK
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